『本があるから Book! Book! Sendai 2008-Book! Book! Miyagi 2018』

 2008年。仙台市内で本に関わる仕事をしている有志が集まり、発足したB!B!S。ブックカフェ経営者、書店員、出版社、編集者、そして詩人。個性的なみんなが集まって、イベントなどを企画する組織で、ぼくは代表をやらせてもらってきました。と言いつつ、いろいろもめたりもして、なんども「やめる」といい、実際に抜けたりもしたのですが、気がつくと、またB!B!Sの仕事をしていて、なんだかんだと10年、続きました。
 どうして、そんなことを始めるようになったのか、思いや経緯は参加しているメンバー、それぞれだったと思います。ただ、なにかが行き詰っていたのでしょう。しかも、その行き詰まりは、個々の仕事や活動の問題だけではない。この街の、地域の、社会に関わっていることなんだと、なんとなく考えていました。

 いま、「なんとなく」と書きましたが、ぼくはこの「なんとなく」が大事だと思っていて、感じていることを、考えに変えていく過程にいつも惹かれています。ですが、その過程はなかなか大変で、同じように考えたり、理解されたりは、ほとんどない。だけど、だからこそ、面白いともいえる。というか、その頃はまだ、「なんとなく」は世の中で許容されていたように思えます。いまは、ちょっとそれでは難しいかもしれませんね。はっきりした方向性や考えがないと動けないし、動いてもらえない。「それでいいの?」と思ってしまいますが、これ以上は長くなるので、止めます。そんな、勝手な逡巡は『本があるから』にいろいろ出てくるので、良かったら読んでみてください。

 B!B!Sをやったことで、行政、商店街、イベントを企画する人たち、いろいろな方たちとの話し合う場を経験させてもらいました。助成金の申請書類、イベントを許可してもらうための警察への手続きなども学びました。いやぁ、かなり言うことを聞いてやってきたつもりですが、やっぱり、誰かとなにかをやっていくのは難しい。B!B!S以前と以降では、ぼくの活動はとても変わったと思います。

 で、行く先々で本に出会うのです。ぼくの毎日に、本が増え、本の話をする機会も増え、それはやっぱり、楽しかった。そして、そんな毎日が続いていく中で震災が起きました。

 街でなにかをやるために集まったみんな。それは先に書いたように、それぞれの思いが街に対するなにかしらのカウンターだった。だけど、震災以降は、その意識はどうしても変ってしまうことになりました。
 街を、つながりを、大切にしていくこと。街に対して思っていたことが、たとえ現状に対するカウンターだったとしても、それは街を思うゆえに、だということ。ひとつひとつの正解が見えない中で、手探りで進んでいったB!B!Sは、やがて同じように、自分たちのやり方で街に向き合い、進んでいくことを決めた、新しい場を訪ねていくことになります。

 『本があるから』はそんなB!B!Sの活動のひとつの区切りをまとめています。10年、いろいろあって大変だったけど、この本をつくっている時に前野さんが「結局、本があるから、いろんなことができたんだよね」と言ってくれて、タイトルが決まりました。

『RE:プロジェクト通信 記録集』

 大切なことに気づいていながら、そのことを考えていくことができない。わかっているはずなのに忘れてしまう。暮らしが、仕事が、お金を中心に動き、人と関わり、上にいこうとしたり、下に見られたり。傷つけること。傷つけられることを必要以上に気にしたり。
 自分が前に進むために。少しでも、昨日の自分を更新するために。ぶつかっていかなくてはいけない。戦っていかなくてはいけない。
 ほんとうにそうなのかな? ミルクに出会って、改めて考えるようになりました。

 そして、震災が起きて。

 『RE:プロジェクト通信』は被害の大きかった沿岸部を訪ねていき、お話を聞かせていただき、かつてあった暮らし、人のつながりを記録していくものでした。ぼくは詩の連載をしてきました。どうして、『RE:プロジェクト通信』に詩があるのか、また、その詩はどんな作品なのか。それを伝えるには読んでもらうしかないのだけれど、ぼくたちの暮らしには、街には、人とのつながりには、いつも、やさしさやさみしさがあって、それがなにかを問いかけるものが詩だということ。『RE:プロジェクト通信』の取材はそのことを、改めて教えてくれました。

 震災とはとても大きな悲しみで、なにが起きたの? という、受け止められない大きな問いでした。そして、そこからずっと、立ち止まっていることでもあります。だけど、ぼくはそのことをとても大切なことだと思っています。
 震災が起きて、なにかやらなきゃ、やりたい。変わらなくてはいけない。想いを形にしなくてはいけない、と思うことも増えたのではないでしょうか。ぼくもいろいろな方や場面に出会う度に、自分になにができるのか、できないのか、とても考えてきました。だけど、ぼくは「できること」ではなく「できないこと」を大切にしてきた。そこには正解がないと思うけど、ぼくは「できない」自分から詩を書いてきました。

 『本があるから Book! Book! Sendai 2008-Book! Book! Miyagi 2018』と『RE:プロジェクト通信 記録集』は同じ時期に編集していました。どちらも、ぼくの大切な活動で、記録です。そして、この間にぼくの人生には大きな悲しみがいくつか起きました。それはとても乗り越えられないもので、いまも、ぼくの日々に涙を運んできます。だけど、ぼくはその悲しみたちを乗り越えようとは思わない。その悲しみたちは、ぼくにとって、とても尊いもので、いつまでも、近くにいてほしいものだからです。

『本があるから Book! Book! Sendai 2008-Book! Book! Miyagi 2018』
WRITTEN BY Kumiko Maeno, Koji Takeda
DESIGN Akinori Kagaya
2019.3.21
1,000yen


『RE:プロジェクト通信 記録集』
WRITTEN BY Shoko Nishiodachime, Hiroko Tazawa, Koji Takeda
DESIGN Shotaro Watanabe, Tsukasa Goto
2018.3.11
1,000yen

ご希望の方は kojiwords@yahoo.co.jp まで連絡をお願いします。
在庫は各20部ずつです。

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